GuideBy My Emotion

四万十川の沈下橋

沈下橋


歴史と由来

  • 沈下橋は、昭和初期に本格的に造られ始めました。

    四万十川流域では1934年(昭和9年)が最初とされ、それ以前は橋ではなく、渡し舟が中心でした。

    藩政期から木材の一大供給地だった四万十川流域では、木材搬出のため川を利用しており、架橋されると筏や舟運の障害になるため、橋の建設は進みませんでした。

    文明の進展で物流手段が舟運から陸送(車両)に変わった昭和に入ってから、橋が建てられるようになりました。

    急流で大雨による氾濫が多い四万十川において、通常の高架橋だとコストが莫大になるため、安価で水流の抵抗を受けず、増水時はあえて水に沈めて流木の抵抗も受けにくい「沈下橋」が考案されました。
    これが欄干のない理由です。

    現存最古の沈下橋は四万十町一斗俵にある935年(昭和10年)竣工の一斗俵沈下橋とされており、国の登録文化財に指定されています。


珍しさと地質的特徴

  • 四万十川の沈下橋は周囲の自然景観と溶け合い、「日本最後の清流」と呼ばれる自然そのものの中に無機的なコンクリート橋が絶妙に共存しています。

    沈下橋は全長60m〜100m程度が多く、コンクリート桁橋が多いが、木造や鉄筋構造のものも現存します。

    増水時には通行止めになるものの、地域住民の生活インフラとして最優先維持されてきました。


四万十川との暮らし・文化的意義

  • 沈下橋の誕生以降、物流や人の交流が飛躍的に向上、住民の生活基盤・産業発展に欠かせない存在となりました。

    現在はその姿が「四万十川の象徴」として観光資源、フォトスポット、地域理解のシンボルにもなっています。

    各地の沈下橋には、戦争時の避難路や生活道など、人と川と歴史の物語が積み重なっています。


参考リンク(調査根拠)