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アコウの締め殺しの木

アコウの締め殺しの木

歴史・由来

  • 土佐清水市松尾地域の「松尾神社」周辺には、国の天然記念物にも指定されたアコウの大木が自生しています。
  • アコウはサル・鳥などが食べた果実の種子が他の木の上に落ちて発芽し、宿主(他の樹木)に気根(上から垂れて伸びる根)を巻き付けて養分を吸収しながら成長する「締め殺し」現象で知られる植物です。この姿が“絞め殺しの木”“キラーツリー”と呼ばれる由来です。
  • 松尾神社のアコウはその異形から「たこの足」「林に見える1本」などと呼ばれ地域のランドマークとして長く親しまれてきました。

生態・珍しさ

  • アコウは、最初は他の木の上で“宿り木”として生活を始め、気根を地面に垂らして本格的に成長。やがて自らの幹が太くなり、宿主の樹木を覆い尽くし本当に“絞め殺す”ほどに成長します。
  • この性質が東南アジアの聖木信仰や日本独特の妖怪・呪術伝説につながり、夜叉神や赤毛の妖怪が棲むという民話もあります。
  • アコウが自生する分布境界は、愛媛県佐田岬・佐賀県唐津市が北限で、四国・九州沿岸で特に珍しい大木が確認されます。

地質的背景・文化

  • 松尾地域は黒潮がぶつかる太平洋沿岸・花崗岩の断崖地帯に位置し、湿気・温暖な気候がアコウの成長に最適な自然環境を提供しています。
  • 松尾のアコウ自生地は、大正10年(1921年)3月3日に国の天然記念物に指定されました。

指定理由は、樹齢300年を超える大樹であり、アコウの生態を示す貴重な個体であることと、自然学的・学術的価値が高いことによります。

  • アコウは、他の樹木に着生し成長しながらその木を覆い枯らしてしまう「締め殺しの木」として知られる希少な生態を持っています。その独特な生態系と形態が、研究や保全の対象として重要視されました。
  • 特徴
  • 樹高約22m、幹の周囲12.1mと巨大で広大な枝葉を持ち、地上約8mの高さから東西約36m・南北約33mに枝が広がっています。
  • 元の宿主の樹が枯死して中空になっている部分があり、アコウの生命力の強さと自然界の驚異を示しています。
  • 松尾の気候と花崗岩地質がアコウの生育に適していることも価値の一つとされています。
  • アコウの木が地域風土・神社信仰・漁師文化と深く結びつき、地義的資産(ジオパーク推進の象徴)としても価値があります。

根拠となるHP・資料リンク